「霧多布湿原」涙の62㎞ -3-
ご乗車ありがとうございます。北海道新幹線の「札幌延伸」を求める署名を、拒否しました。(*・ω・*)ゞ
某団体が実施している、総理大臣と国交大臣に宛てた署名の用紙が、社内の回覧版で回ってきました。
もちろん、お断りです。
在来線を衰退させ、地元に末代までの借金を背負わせ、航空会社に中途半端なダメージを与えながら、海外で日本の新幹線技術を買ってもらえる見込みがあるわけでなし。(●・`з・´●)
~ 「霧多布湿原」涙の62キロ その3 ~
折り畳み自転車ブロンプトンで、厚岸から霧多布湿原を目指した、無謀な物語の第3話です。
13.飛び出し注意、その1
16:40 「藻散布(もちりっぷ)沼」の水面のまたたきに、感極まって、こみ上げた涙が…、

涙が、風で、飛んでいきます!
なぜなら、〝下り坂〟だから!!

「ひょーーーーーーっ!」\(.>∀<。)/。。..
ほっぺたまで飛んでいきそうっ!
おおっと、エゾシカとの衝突には注意しなくちゃ。

とはいっても、気持ちーーーーーーっ!!!!!
サイクルコンピューターが時速42キロを計測!(制限オーバー??)
!!!!!!
自転車が空中分解しそうな振動を始めたので、やむなくブレーキを握りました。
14.飛び出し注意、その2
16:44 愉快な下り坂は4分で終わり、人里に出ました。
四方を藻散布沼と山と海に囲まれた、小さな漁村です。地形の影響なのか、気温が急激に下がり、ヒンヤリ肌寒くなります。

こちらは、昆布漁の家。長ーい昆布を、この砂利の上で天日干しにするんですね。

おおっと、標識の字が消えてます。「子供飛び出し注意」なのでしょうけど、

「荷物を捨てた佐川急便」にも見えます。
トンネルをくぐると、また気温が急上昇し、もとの暑さに戻りました。不思議な漁村です。
そして、なんと、ガソリンスタンドに人間が!そして、近くには自動販売機!(>∀<人)
水とスポーツドリンクを買い、急斜面の上り坂を進みます。
15.バッサッ…、バサッ、パキッ…。
17:00 傾斜がなくなるとともに、再び、密林地帯に突入します。
背後で、草木がゆっくり、大きく2回、揺れた後、小枝が折れる音が…。
…(il`・ω・´;)
16.「ヒグマ」の傾向と対策
ハイジ急行、ヒグマに特段の恐怖感を持っています。
何年か前、吉村昭の小説「羆嵐」を読んで以来です。作品は、大正4年に7人がヒグマに食い殺された実話に基づく戦慄のノンフィクション。そこいらのホラー小説より怖いです。d(>ω<。)この状況で思い出したくない。
もう一つ、昨年、釧路のK野さんから、浜中町で2006年に2名がヒグマの犠牲となった話を聞いていたことも、大きいです。d(.>ω<。)。最近の話だよ。
「ヒグマと共存する留意点」を、いくつかご紹介します。
①ヒグマは臆病で孤独を好み、人間との接触を避けて行動する、昼行性の動物。
②遭遇しないためには、「熊鈴」やホイッスルなどの音で、事前に人間の存在を知らせること。(゚ー゚*d)
③遭遇してしまった場合、走って逃げると危険。刺激せず、ゆっくり、後ずさりした方がよい。(゚ー゚*d)
④襲ってきそうな時は「熊スプレー」で威嚇、至近距離では「鉈(なた)」で攻撃。d(´・∀・`)次回、買おう。
17.苦渋の決断
17:10 分岐点が現れました。
直進すれば、霧多布へ向かう123号線。左折すると、「茶内駅」へ向かう599号線。

空はまだ明るいけど、、
左の、「茶内」の道を選びます…Σ(゜Д゜ノ)ノ
霧多布までは、恐らく、ここから11~12㎞、自転車で40~50分だと思います。そこからMGロードを通って茶内駅までは、さらに10㎞以上。途中、森の中で日没を迎える可能性があります。
⑤ヒグマと遭遇しやすい時間帯は、人気の少ない早朝と日没前後。
よって、霧多布湿原を諦め、599号線で茶内へ直行します。 苦渋の決断です。(>_<。)苦汁100%
18.魔の599号線
「○○まで□□㎞」という道路標識は、そこを目指す者の精神的支柱となります。
通常、カウントダウンしながら表示されるものだと思います。d(゚ω゚=。)そうあるべき。

599号線の密林を走行し始めてから数分後、いきなり「1㎞」の標識が目に入りました。
「ずいぶん近いのね」と、ぬか喜びして、力強くペダルを踏みます。
数分後に、「2㎞」の標識。 さらに数分後、「3㎞」の標識。 …数字が、増えてます。
599号線さん、嫌がらせですか(´・∀・`)。私、あなたの総延長を知りません。
意気消沈して無言になり(スピーカーの曲に合わせて口ずさむのを止め)、黙々と走ります。
太陽はすっかり傾き、木々の隙間からチラチラと光が見えるだけです。

ペダルをこげども、こげども、景色が変わりません。時間だけが過ぎて、同じ場所を何度も通っているような、錯覚に陥ります。
標識のキロ数も、数字が増えてない気がするし、この標識も、ついさっき見たような気がします。

芥川龍之介の「トロッコ」の帰り道のような、心臓が焼けるような焦燥感に囚われます。
そこへ、道路脇に、立て看板が現れました。 確実に、初めて見る看板です。
(良かった、ちゃんと茶内に向けて進んでるんだ。)
安堵しつつ、スピードを落として、通過しながら看板の文字を確認。
「6月12日 この付近で ヒグマが目撃されました」
(;●゚;ω;゚●;)
⑥若くて好奇心旺盛なヒグマは、①②③には一概に当てはまらない。d(´・∀・`;)じゃあ、どうしろと?
⑦人間の食べ物、または人肉の美味しさを知ったヒグマには、②の音出し法は逆効果。好物を狙って近づいてくるので、むしろ危険。d(´・∀・`;)もう、どうしていいか、わからない
絶望の淵に立った、その時!
しめた! 下り坂だ!!

(時速40㎞に迫るスピード!)
「ひぇーーーーーーーーーーーっ」\(.>∀<。)/。いちもくさん
⑧ヒグマは、時速50㎞で走る。d(>ω<。)。所詮、逃げ切れない
19.夕焼けに泣く
17:45 また分岐点が現れます。
左は茶内駅へ行く599号線、右は霧多布のMGロードへつながる808号線。

まだ、空は青いです。 でも、やっぱり、茶内へ行きます。(>_<。)命が大事
分岐点を左へ行くと、すぐに森が開けました。

セブンスターライトの木、とでも言っておきましょう。
大きなトラクターが丘をむしゃむしゃ食べているのを横目に、町の中心部へ入っていきます。
18:00 茶内駅に、やっと、着きました!

駅舎のステップに腰掛けて、放心状態を楽しみます。
…!(左側で気配が!)
振り向くと、黒い子猫が、私のすぐ横で、じっとこちらを見ています。
顔の中心だけ白で、ブサイクな顔。写真を撮ってやろうとしたら、シャシャッと走り去ってしまいました。
(10分後)
…!(今度は右側で気配が!)
また、さっきの猫?
と思って振り向いたら、、、!
キタキツネ!(1.5mの距離!)
ゾゾーッ。気持ち悪い。(゜~゜;) 写真を撮ろうと思ったら、やっぱり、タタッと逃げちゃいました。
今日は、ずいぶん動物にモテます。一日中、大自然を走って、動物に好かれる体質になったから?
それとも、厚岸駅で買った「帆立のおにぎり」が、バッグの底で臭気を発しているから?←(´・∀・`)こっちだ。
一休みして元気が出たので、夕日を見届けに行きます。

(18:40)
もうすぐ、日が落ちます。
さっきのセブンスターライトの木。

(18:50)
夕日を浴びてうねる雲が、私を許してくれているようで、胸が詰まります。
霧多布湿原まで行けなかったけど、私、十分、頑張ったよね (>_<。)
20.また、次回に引き伸ばす
ちょっと、ちょっと、これで終わるわけないでしょう。
わたしを見くびってもらっちゃ困るわ。(o・`з・´o)つづくわよ
つづく