「霧多布湿原」涙の62㎞ -2-
ご乗車ありがとうございます。スイスのベルニナ線が開通100周年を迎えます 。(*・ω・*)ゞ
スイス政府観光局のホームページによると、ハイジの舞台となった地域を走る「ベルニナ鉄道」が100周年を迎えるそうです。
スイスに関連した豪華賞品が当たるキャンペーンも行われています。
けど、競争率が高くなるから、半端な興味で応募してほしくないです(´・∀・`)勝手な言い分
~ 「霧多布湿原」涙の62キロ その2 ~
9.勇気ある決断
道道123号の呼称は、「別海‐厚岸線」です。
沿線を走っていると、「別海町まで74㎞」…「別海町まで73㎞」…「別海町まで72㎞」…と、1キロ単位で標識がカウントダウンします。
なのに、「浜中町まで○○㎞」「霧多布まで○○㎞」という標識はなく、たびたび不安に襲われていました。
気温30℃を超える中、45分(約10㎞)走り続けた末に、突きつけられた標識。

(2010年6月26日土曜日、15:15の出来事)
……(;・∀・)もっと前から表示してよ。
このペースでいくと、霧多布に着くのは17:30頃。そこからMGロードに向かうとしたら、お目当ての景色は、夕暮れの中で眺めることになります。
それは、イヤですo(>_< )o〝あの景色〟は、明るい太陽の下で見たい!
さあ、どうする?
答えは、決まっています。当然の決断です。私を見くびってもらっちゃ困るわ(o・`з・´o)。
「厚岸駅発のJR時刻」を調べます。引き返すなら、今!d(*゚∀゚*)
もともと乗車する予定だったのは14:00発で、その次は、、、と…。

17:29…。 こ、こんなに本数少なかったかしら(*゚▽゚)?。
茶内着は17:48。そこから自転車で霧多布に向かうんじゃあ、かえって遅くなります。
さあ、どうする?
……б(´・ω・`;)
…い、行こうじゃないの!30キロ! 最初からそのつもりだったわよ(o・`з・´o)ん?なにさ。
考えてみたら、「山」なんですから、今まで上り坂だったなら、後半は下り坂です。しかも、ここは森の中。信号機もない。時速30㎞は出ますよ、きっと。(。゚ω゚)。
寄り道するような所だってない。道草も休憩もせずに走れば、16:30には霧多布に着きます!
きっと、太陽に照らされた、感動の風景に、間に合います!
ヒグマ除けスピーカー、ボリューム・アーップッ!

※ドッペルギャンガーというマウンテンバイク・メーカーの自転車用ステレオスピーカー。
よし、Go!=(o ゚ω゚)o
10.寄り道するような所があったので、道草をする
15:25 (勇ましい決意をした10分後のこと)
右手に脇道が現れ、「あやめヶ原」の看板と「まつり」の幟(のぼり)が立ち、人の気配を感じました。

人恋しい。水も欲しい。
距離は3キロ。
どうしようか、どうしようか、ロータリーをぐるぐる旋回して、
よし、Go!=(o ゚ω゚)o(※あやめヶ原へ)
時間のロスは痛いけど、滅多に来れない所(自転車では二度と来るつもりのない所)です。
何よりも、このあとの「遭難」が頭をよぎって、生前の私の足跡を、誰かの記憶に植え付けたいという感情が、人のいる所へ私を向かわせるのです。(;・∀・)わりと本気。
白樺のアーチを駆け抜けます。(※涼しげに見えますが、尋常じゃない暑さです。)

約10分で「あやめヶ原」に到着。まつりの初日で、露店のテントはまだ3つしかありません。

魚介類の珍味や酪農製品などが売られていますが、飲料水はありません。(>_<。)
ゲートをくぐって少し進むと、薮から馬。

おとなしくてカワイイ~。4頭くらい放牧されていました。1頭、拝借して、霧多布まで乗馬したい…。
アヤメはまだ三分咲きくらい。満開になると、見渡す限り紫色に染まるそうです。

キンポウゲも可憐に咲いています。

素晴らしい眺めです。

右を仰ぐと、私が走ってきた、厚岸市街からの山並みが一望できます。

私、あんな所から走ってきたんですね! よく頑張った!感動した!
左を仰ぐと、これから向かう山並みが。霧多布は、あの岬のずっと向こうです。

…。
も、もう、出発しようかな。(lll゚∀゚)ァ
飲料水を入手できなかったのは残念ですが、露店のお兄さんが
『こんなところに自転車で来ている人がいるぜ(゜o゜;)マジカヨ』
という目で私を見ていたので、目的は達成しました。
11.自転車乗りの〝修行僧〟とすれ違う(←事実です)
16:05 道道123号線に戻って、再び霧多布を目指します。有意義な寄り道でしたが、このロスを、どう取り戻すか…。
道の勾配は、水平か、やや下り坂になりましたが、暑さは、いっこうに衰えません。

体力を消耗することはもちろん、化粧も日焼け止めも汗で流れ落ち、顔が真っ赤に日焼けしているのを感じます。
首に巻いているスカーフは、汗を含み、ねじれて首輪みたいになっています。
『こんな姿、誰にも見せられない…。…誰も見ちゃいないか。』
そんなことを考えながら、スピーカーから流れる音楽に合わせ、ワンテンポ遅れで、息絶え絶えに口ずさんでいた時、
前方から、自転車のペダルを懸命にこいで、近付いてくる人影が。
三角の「笠」をかぶって、その紐をアゴで結び、「白装束」に、「黒い羽織」。
後ろの荷台には、テントか寝袋のような、大きな荷物が左右にぶら下がるように積まれています。
荒行中の僧…??
10メートルくらいの距離まで近づいたとき、修行僧さんは、
「こんにちは」
と、朗らかな顔で会釈。苦行中で(←決めつけ)辛いはずなのに、さすが、人間のできが違う!
私も、お返ししなきゃ。
「こんりひは…」(蚊の鳴くような声しか出ないハイジ急行。)
しかも、 (;●゚;ω;゚●;) こんな顔で。首輪して。
まだまだ、修行が足りません。
(修行僧さんの後姿の写真を撮ろうかとも考えましたが、立ち止まって自転車を降りる体力が、すでにありませんでした。)
12.浜中町で泣く
16:20 海が現れました。息があがってきたので、ちょっと、休憩。

海水はあんなにたくさんあるのに、飲み水は、もう、これだけ。

一口だけ、大事に飲みます(´・ω・`) ゴクゴク。あ、ふたくち。
すぐ、走り始めます。
あれ?
あ!
あ~っ!

16:25 浜中町に到達~。(P∀゚q。) ←本当にじわっときた。
(厚岸駅を出てから、ちょうど3時間です。※道草の時間含む)
少し希望を得て、ペダルをこぎ進むと、左に「藻散布(もちりっぷ)沼」が見えてきました。

水をたたえて、静かに輝く姿に、どうしようもなく、、、胸がこみ上げてきます。
これ自体は、特別、感動するような景色ではないかもしれません。
ただ、長い長い山道をのぼって、あやめヶ原の壮大な景色に出会って、また長い長い山道を走って、右に海が現れて、さらに進むと、左に、美しくたたずむ藻散布沼…。
どれだけ私に見せてくれるのでしょう! この大自然は!
ぜひ、皆さんにも、訪れてほしいです。
バイクか車でね。
感動に涙していた、この時、すでに16:40。
「16:30には霧多布に着きます!」なんて豪語していたのに。
このあと、どうなるのでしょう?
<つづく>
ハイジ急行、〝引っ張る〟のが好きです。