「霧多布湿原」 涙の62㎞
ご乗車ありがとうございます。グリーン車で乗客が自分一人の場合、お酒を飲みすぎる傾向があります。(*・ω・*)ゞ
仕事でお世話になっている〝S戸さん〟による調査報告です。
グリーン車で乗客が自分一人だと、客室乗務員が通るたび、マンツーマンで接客されてしまうので、ついついビール、ウィスキー水割り、焼酎水割り、と買い重ねて、終点に着く頃にはすっかり〝できあがっている〟のだそうです。
S戸さん、それは言い訳ですd(´・∀・`)私は自由席でも〝できあがり〟ます。
~ 「霧多布湿原」 涙の62キロ ~
前回「予告」していました「62㎞の過酷な道程 by 自転車」の本編をお伝えします。
目的地は「霧多布湿原」の「MGロード」。最寄り駅の「茶内(ちゃない)」から、往復15㎞程度の旅、となるはずでした…。
1.6月26日(土)、予報より気温が12℃高くなる
2010年6月26日土曜日の朝。 雲一つない青空が広がっています。
駅前のホテルを出て、午前中は釧路川に架かる幣舞橋(ぬさまいばし)の近くで野暮用がありました。>

前日の天気予報では、釧路の最高気温は20℃と出ていましたが、すでにこの時、25℃を超えていたと思われます。そうとは知らず、
「釧路は湿度が高いから、20℃が札幌の25℃くらいに感じるのね」
と、分かったような口を聞きながら、用事を済ませ、釧路駅へ戻りました。
2.「根室行き」ではなく「厚岸行き」に乗る
12:11 ブロンプトンに輪行袋をかぶせ、2両編成の「厚岸行き」に乗ります。

霧多布の「MGロード」へ行くなら、13:11発の「根室行き」に乗って、「茶内(ちゃない)」で下車するのが無難です。
でも、せっかく、訪れた道東の地。いろんな所に行ってみたい(。゚ω゚) 。うん。
先発の列車に乗って「厚岸(あっけし)」で降り、駅周辺を小一時間ほど散策してから、14:00に「根室行き」に乗ることにします。
(計画どおりにしておけばよかった。)

車内の乗客は、2両合わせて10人未満。「別保(べっぽ)」に着くまでにみんな降りてしまって、一人になりました。
これほど車窓を楽しめる路線は滅多にないのに、もったいないです…。
線路に水を足らすと「ジュッ!」と音を立てそうな暑さです。

3.厚岸駅で〝いい事〟を思いつく
13:05 「厚岸駅」に到着。
有人駅で、記念スタンプもあります(窓口で保管されているので、駅員さんに頼んで押印)。
キヨスクもあります。昼食に「牡蠣のおにぎり」と「帆立のおにぎり」を購入。「牡蠣」の方は駅待合室で食し、「帆立」は散策中に海を眺めながらいただくことにしました。
駅に置いてあった「くしろ観光ガイドブック;ぐる得PASS」を手にしたのが、運命の分かれ道。
北太平洋シーサイドラインⅡというページで、地図上の「道道123号線」が目に留まりました。
厚岸から「霧多布湿原」へと導く〝一筆書きの道〟です。

ひたすら真っ直ぐ行けば、迷いようのない道です!(※H部長なら迷うかも。)
あ…!(*゚∀゚*)b (※ろくな事を思いつかないハイジ急行。)
(昨年、釧路のK野さんが車で案内してくれた時のことを思い出し、自転車で行けそうな気がしちゃったのです。)
(無謀でした。)
13:25 ブロンプトンに乗って、厚岸駅を出発。

暑いです。帆立のおにぎりも、早く食べないと危険かもしれません。
あそこに見える赤い「厚岸大橋」を渡って、向こう側の半島に行きます。

K野さんが「冬に橋が凍結して通行止めになったときは、向こう側が〝陸の孤島〟と化して大変だった」と言っていたのを思い出します。
橋を渡りきると、123号線を外れ、そのまま海の方へ。ちょっと寄り道です。
商店街に、牡蠣のオブジェを掲げた洋菓子店「荒川菓子司」を見つけました。

ちなみに「厚岸」はアイヌ語「アッケシイ(カキのあるところの意)」に由来するそうです。
海沿いには、太平洋を望む〝ドック〟
海の男の匂いがします。
道端には、持ち主を探す〝ズック〟

海の男の臭いがします。
4.ズックを見て食欲をなくす
どこかで海を眺めながら「ホタテのおにぎり」を食べるつもりでいましたが、炎天下でズックを撮影しているうちに、食欲が失せました。
5.123号線に軌道を戻す
道草し過ぎました。もう14時20分です。
14:30 再び、道道123号線に戻り、いよいよ、霧多布湿原に向けて、ペダルをこぎます!
住宅がまばらになるにつれ、歩道も消え、道幅も細くなり、心細くなります。身体は太いまま。

少しして、再び広い歩道が右側に現れ、緩やかな坂道が続きます。とても暑いですけど、まだ大丈夫。

途中で道が左右に分かれます。

右の行先は床潭(とこたん)。楽しげな響き。下り坂で歩道付き。身体が右へ進もうとします。
でも、霧多布への道は、左の上り坂。歩道なし。
泣く泣く、ペダルを踏ん張って、左へ進みます。
アスファルトに、汗が滴り落ちます。。。。。。
6.自分を殴りたい
15:00 道道123号線を走り始めてから30分、厚岸駅を出てから1時間30分が経過。
ペダルがいつも以上に重く感じます。踏んでも、踏んでも、時速10キロくらいにしかなりません。
それほどの傾斜はないのに…。(↓来た道を振り返ってみた様子。)

ぱっと見、坂道に見えない程度の傾斜です。でも、それが何キロも続くと、急斜面を駆け上がるのと同じ運動量になります。(・∀・)b理科で習った。
ペダルを5~6分こいだら自転車を降り、2~3分手で押しながら歩いて、また乗る…、を繰り返します。
平らにしか見えない道で、自転車を押して歩くのは、屈辱的です。いくら疲労と暑さがあるとは言え…。

自転車を押しながら、ふと、後輪を見ると、、、、
……。(lll゚∀゚)ァ
ダイナモライト(発電式のライト)が〝点灯〟してます…(TωT)
どうりで、ペダルが重くなるわけです。いつから点いていたんでしょう。自分に腹が立ちます。
7.水をかぶりたい
暑いです。
ペダルが重くなっていた原因を解消したので、足取りは軽くなりましたが、とにかく、暑いです。
天気予報で見た20℃は、自分の勘違いだったのだろうとさえ思い始めます。
ツール・ド・フランスみたいに、走りながらジャバーっと水を頭にかけたいところ。

大事に飲みます。
すでにお茶を1本飲み干してしまって、これが最後なんです。次に水を入手できるのは、いつになるのか見当もつきません。
水が尽きたら、フキを食べるしかないのかしら。水分はありそう。

でも…、野生動物が飛び出してきそうで恐い。(このフキ、人間の背丈ほどあります。)
8.家に帰りたい
15:15
……。

……。

(;・∀・) あと30キロ…。
〈つづく〉